VUCA(ブーカ)とは?変化する時代を生き抜くアジャイル式の経営とリーダーシップ

VUCA(ブーカ)とは「変動的である(Volatility)」「不確実である(Uncertainty)」「複雑である(Complexity)」「曖昧である(Ambiguity)」の4つの頭文字をとった言葉です。さまざまなサービスやプロダクトが毎日のようにローンチされ、AIやIoTの進化により機能が高度化した現代のビジネスシーンはしばしば「VUCA world」ともいわれます。

2020年にはコロナショックが世界中を席巻しました。まさに昨日までの日常が一変してしまうような時代で私たちはビジネスを進めています。今回はVUCAの言葉の意味や、VUCA時代のビジネスシーンに適応するために必要なアジャイル型の経営、また生き抜くために発揮すべきリーダーシップについてご紹介します。

 

 

VUCA(ブーカ)とは?

VUCAという言葉はもともと軍事用語であり、何が起こるか分からないカオス化した世界を表す言葉でしたが、現在ではビジネスシーンでも使われるようになりました。

テクノロジーが進化してビジネスサイクルが加速するとともに既存ビジネスの破壊と再構築が進み、ビジネスの定石は変化しています。「盤石のリソースがある大企業は長期にわたってビジネスを安泰に進められる」という考えはなくなりました。VUCA worldのなかでは、たとえ現状の経営が万全でもすぐに競合があらわれ、対策を講じなければあっという間に廃れてしまいます。では4つの各要素を細かく解説しましょう。

 

1. 「変動的である(Volatility)」

現状のビジネスは移り変わりのサイクルが激しくなっています。1つの市場のなかでも次々に新たなサービスプロダクトが生まれ、廃れていくのが現状です。どの企業も安心はできず、柔軟にニーズに対応して商材をブラッシュアップする必要があります。

SNSにより消費者の声がリアルタイムで反映される

TwitterやFacebook、InstagramといったSNSが台頭しました。消費者の評判がまさにリアルタイムで世間に浸透する世の中において、商品や企業の評判は日々変動しています。機能まで評判の高かった企業も、不祥事を起こしてしまえば、あっという間に膨大なインプレッションにさらされ、失墜してしまうのが現状です。

 

2. 「不確実である(Uncertainty)」

確実性がないのも特徴の1つです。テクノロジーの進化によって、ビジネスの予測が立ちにくくなっています。いつ、どのタイミングでイノベーティブなベンチャーやスタートアップの競合が現れるのかも分かりません。

技術の民主化による不確実性

テクノロジーはかつて大手企業だけが保持するものでした。なので、競合が現れにくく、業界によっては寡占市場となっていたのです。しかし時代は流れ、現在では技術が民主化されました。中小企業でも優れた製品を生み出せるようになっています。確実に成長できる市場はありません。どの企業も常に不確実なマーケットのなかにいます。

 

3. 「複雑である(Complexity)」

国内外の企業が市場に入り乱れている現在、ビジネスの複雑性も高まっています。さまざまなマーケットをまたにかけるサービスやプロダクトが出現し、ビジネスモデル自体も複雑化しているのです。

M&Aなど、経営統合の増加

ここ数年で企業の経営統合は著しく増加しています。2021年3月から本格的に統合予定のYahoo!とLINEなどはその代表格でしょう。別々の強みを持つ企業がある日合体し、多面的な戦略を打ち出すことも増えました。一方向的な見方では差別化すら難しくなります。また常に自社としても経営統合を考えなければいけません。

 

4. 「曖昧である(Ambiguity)」

テクノロジーの進化によって、過去に前例がないビジネスモデルが生まれることが増えました。むしろ過去にどの企業も成し遂げていないイノベーティブなビジネスではないと成功しません。前例がない分、事業の成功確率ははっきりせず、曖昧になっています。

自然災害などによるビジネスチャンスの到来

2020年はコロナウイルスのよる生活習慣の変化がトレンドになりました。新しい生活様式が広がるにつれて、ビジネスチャンスが到来した企業もあります。フードメニューのテイクアウトなどがここまで流行ったのはまさに前例がないこと。曖昧な環境のなかで常にビジネスは動いています。

 

VUCA worldではアジャイル型の経営を

VUCAの時代で企業のマネジメントをする際、スピードを意識することが大切です。不確定であり、いつ変化をするか分からない市場において1つのビジネスに固執するのはあまりに危険なこと。素早い選択をしながら変化に着いていくことで、継続的に成長ができます。

日本ではいまだにウォーターフォール型の経営が目立ちます。ウォーターフォール(滝)型の経営とは、経営陣から各部署を通って、各社員に目標設定を下ろしていき、達成したら評価するという経営方式を指します。

一方、アジャイルを直訳すると「俊敏な」となります。アジャイル型の経営とはスピーディーな動きで常に変化をしながら進めていくマネジメントのことです。そのためは全体で指示を下ろしていくような時間はありません。社員の一人ひとりが自発的に自己評価を定めてセルフマネジメントをすることが求められます。

また経営の権限を各部署に任せることで、ウォーターフォール型のように稟議を通す時間をカットすることが可能です。つまり、アジャイル型の経営をするためには、各プロジェクトチームや人材の力を強める必要があります。各メンバーがリーダーシップを発揮できるような体制をつくらなければいけません。

 

 

VUCAを生き抜くためのリーダーシップを発揮する人材

では「リーダーシップを発揮する人材」とは具体的にどのような人間を指すのでしょうか。その資質とマインドを解説します。

 

1. 変動的な社会のなかでこだわらないこと

顧客のニーズをはじめとする社会の変動性に対して自身のこだわりを貫いてしまえば、プロジェクトの成長は止まってしまいます。データなどによってエビデンスを取れたら、柔軟にカタチを変えていくことが必要です。ただし「芯がブレる」という意味ではありません。達成することに対してはプライドを持って臨みましょう。

 

2. 不確実だからこそ、ビジョンを示すこと

不確実なビジネスのなかで「これを成し遂げる」と断言するのは難しいかもしれません。だからこそリーダーシップは求められます。チームの長となる人はしっかりと道筋を示すことでプロジェクト全体を1つのゴールまで導きましょう。

 

3. 複雑性があるからこそ、ゴールはシンプルに

ビジネスモデルが複雑になっていても、目指すゴールやターゲット、提供する価値などはシンプルにしておきましょう。プロジェクトのゴールまで複雑にしてしまうと、チーム全体が同じ場所を目指せなくなってしまいます。ロードマップを簡潔にしておくことがリーダーシップとして重要です。

 

4. 曖昧な状況でも勇気をもって進む

前例がない状況でビジネスを進めるのは、濃い霧のなかを進むようなものであり、勇気が要ることです。しかし恐れながらビジネスを進めると、さまざまな外部からの声をうのみにしてしまい軸がぶれてしまいます。事業に対してまっすぐに進むことができなくなると、動きも遅くなるでしょう。リーダーはもちろん、メンバー全員が自信と勇気をもって進むことが重要です。

 

 

2020年のコロナはVUCAの代表的な例

新型コロナウイルスによってあらゆるビジネスが打撃を受けました。コロナはまさしくVUCAの時代を表したような現象です。さまざまな企業が縮小を余儀なくされ、経済全体にダメージが及んでいます。そんななかで求められているのはアジャイル式の経営であり、スピード感のある組織です。

新型コロナウイルスはマイナスな面もありますが、市場の変化という意味ではプラスにも働きます。例えば人々の生活様式ががらりと変わったことで消毒液やマスクは前例にないほど求められるようになりました。また直接モノを触るのを忌避する文化も発達しましたし、人が多い場所は避けるようになったのも事実です。

変化するニーズに対応して売り上げを伸ばした企業も現れているのが事実です。激動の時代のなかにはビジネスチャンスもあります。アジャイル式の経営でスピード感を持ってニーズを掴み、効率性・生産性を高めていきましょう。

 

 

VUCAを生き抜くために有効なフレームワーク

アジャイル型の経営が重要になっていることからも分かるように、不確定要素が多いからこそVUCAではハイスピードな動きが必要になります。そのために有効なフレームワークを紹介します。

リーンキャンバス

1つ目が「リーンキャンバス」です。リーン・スタートアップで重要な高速かつ低コストの事業モデルをつくるために活用されるフレームワークになります。また顧客属性や提供価値をより分析されたツールです。スピード感を持って事業展開するために、有用になります。もし現事業を見つめなおしたり、新規事業を構築したりする際は、ぜひご活用ください。

PEST分析

PEST分析とは「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の4要素を分析するためのフレームワークです。この4つの要素は自社のビジネスを取り囲むマクロの外部環境であり、変化をした際には自社の努力だけでは対処が難しいのが事実になります。例えば法律が改正されてビジネスができなくなる可能性があるでしょう。競合が新たな技術を得た場合、ポジショニングをし直さなければいけません。VUCAの時代だからこそ、マクロの外部環境が常に見つめ直すべきです。

【2020年版】PEST分析で予測する国内マクロ動向の変化

 

BizMakeではリーンキャンバスやPEST分析などのフレームワークを無料でつくれる

今回はVUCAについてご紹介しました。激動の時代にいるからこそ、常に先を読んで戦略を立てて行動すべきです。今回ご紹介したリーンキャンバスやPEST分析などのフレームワークはBizMakeから無料で使えます。チーム内での共同編集作業などもできますので、お気軽にご利用くださいませ。

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